武蔵中学校の入試問題分析(2019-2021年)

2021年

算数

大問1 四則混合計算・仕事算
大問2 速さと比
大問3 平面図形(正六角形の線分比と面積比)
大問4 場合の数

平均点は合格者58. 4点、受験者42. 0点となっており、ここ数年の中では難度の高い問題構成だったことが伺えます。大問1には珍しく計算問題が出題されました。大問3の平面図形では見慣れない部分の比が与えられているため、差がついたものと思われます。本校を目指す受験生は、小手先のテクニックに頼ることなく、頭を使ってじっくりと粘り強く取り組み、納得できるまであきらめない姿勢が重要です。算数大好きっ子を目指しましょう。

国語

大問1 説明文(加藤博子『五感の哲学』)
大問2 漢字の読み書き

大問は2題で、大問1の文章題に対する小問が6問、漢字の読み書きが6問でした。例年、読解問題の小問はほとんどが解答欄なしの記述問題となっており本年度もその傾向に変化はありませんでしたが、今年は3年ぶりに説明文の出題でした。武蔵の国語のポイントは設問の意図をいかに正確につかんで答えられるかです。解答の根拠は本文中にありますので、その部分をただ書き写すだけでなく、題意に合わせた答え方をする訓練を普段より積みましょう。

理科

大問1 物質の膨張
大問2 川沿いの自然環境
大問3 帯状の線の重なり

昨年度に続き大問3問構成でした。本校定番のおみやげ問題は、透明シートと紙を用いて、2つに書かれた帯の重なりを述べる問題でした。中学受験における基本的な知識があることは大前提として、それが日常生活や身の回りの現象にどのように関わっているか、という「興味関心」をもとにした探求が何よりも対策となります。普段から自分の考えや気づきを自分の言葉で表せるように訓練しておきましょう。

社会

大問1 総合問題

全体のテーマは「メディアの歴史」でした。長めのリード文を読み、リード文や資料をもとに設問に答えていく形式は例年の傾向と変わっていません。単純な知識を問うものではなく、多角的な視点から考えさせる問題が多く出題されているのも本校の特徴です。今年度は珍しく記号問題も出題されています。単純なテキストの学習だけでなく、身の回りに関心を持って学習すること、またリード文から粘り強く解答を導く国語力も求められます。

 

2020年

算数

大問1 小問(規則性・つるかめ算)
大問2 平面図形
大問3 論理・推理
大問4 数の性質

平均点は合格者71. 9点・受験者54. 5点でした。昨年度の合格者平均(55. 2点)と比較すると易化の傾向にあります。大問1・2が簡単だったことが易化の要因です。例年通り算数の出来が合否を分けたと思われます。大問3の論理・推理は本校らしい問題です。本校を目指す受験生は、小手先のテクニックに頼ることなく、頭を使ってじっくりと粘り強く取り組み、納得できるまであきらめない姿勢が重要です。算数大好きっ子を目指しましょう。

国語

大問1 物語文(宮下奈都『なつかしいひと』)

母を亡くした「僕」と不思議な少女との交流を描いた作品からの出題でした。記述式設問が6問、「鼻」を使った慣用句が5問、漢字の書きが7問という構成です。記述式設問では相反する心情を説明させるようなレベルの高いものもありました。近年の入試問題では「マイナスの事情を抱えた人物の立場・思いを汲みとる」ものが多く出題されています。機会があったらそのような作品に目を向けてみましょう。

理科

大問1 共通点の発見
大問2 渡り鳥の肺の構造
大問3 リング状の磁石

昨年に引き続き大問3題構成でしたが、大問1が小問集合の形をとるのは2013年以来の出題形式でした。本校定番のおみやげ問題はリング状の磁石を用いて、くっつき方を調べるというものでした。問題文や図表の中にあるヒントから、気づいたことや発見したことを他者にわかりやすく簡潔に伝えることができる表現力を問われます。日ごろから自分の考えや気づきを自分の言葉で表せるように訓練しておきましょう。

社会

大問1 治水・水害について

近年特に多くなっている自然災害の中で、川の氾濫による水害に対する治水に焦点を当てた問題が出題されました。地理・歴史・公民という分類での出題はあまりなく、とらえどころがないという印象を持った受験生もいたかも知れません。今年度はリード文に解答のヒントがあり、それを上手く活用して論述できたかが合否のポイントでした。本校の社会には、テキストに載っていることだけでなく、身の回りの出来事に常に関心を持ち続ける姿勢が求めらます。

 

2019年

算数

大問1 小問(素数と約数・素因数分解)
大問2 平面図形と比(線分比と面積比)
大問3 図形上の点の移動
大問4 調べ上げと場合の数

平均点は合格者55.2点・受験者39.4点でした。昨年度よりも難化しましたが、平均点の差を見ると例年通り算数の出来が合否を分けたことが伺えます。大問1の約数の逆数の和は他校でも出題されている注目問題です。本校を目指す受験生は、日ごろから1問1問に対して粘り強く取り組み、問題をよく読み理解し、納得できるまで諦めない姿勢が重要です。小手先のテクニックに頼らず、頭を使ってじっくり取り組む算数大好きっ子を目指しましょう。

国語

大問1 物語文(中脇初枝『神に守られた島』)

太平洋戦争末期に沖永良部島(奄美群島の一つ)に不時着した特攻隊員と少年・少女の交流が描かれている。特攻隊員の心情変化に丁寧に目を向けたいもの。読解問題の設問は6つと少ないですが、かなりレベルの高い記述問題揃いです。出典は2018年7月に刊行された中脇初枝『神に守られた島』。桜蔭中学校でもこの作品を題材にしていました。続編の『神の島の子どもたち』(2019年1月刊行)は来春の入試での注目作品になるでしょう。

理科

大問1 物質の循環
大問2 潮の満ちひきと磯の生き物の観察
大問3 紙テープで作った栞

今年度は一昨年の3題構成に戻りました。本校定番のお土産問題は「紙テープを折って作った栞」に線を書き入れ、線の様子について考察するという内容でした。記号選択問題は基本的な問題が中心ですので、対策が必要なのは記述問題です。一つの物体を様々な角度から観察する力とそれを表現する力が必要になります。日頃から身近なものに目を向けて、本質をつかむまで追究すると同時に、発見できた事象を他者に伝える表現力を磨き上げましょう。

社会

大問1 国外への人の移動について

例年、一つのテーマを掘り下げてあらゆる角度から作問が行われる本校ですが、今年度は人の移動について江戸時代の漂流民にスポットを当てた問題が出題されました。小問数は12問、出題単元は地理が3問、歴史が7問、公民が2問という構成でした。問3の日本の廻船の特徴を答える論述問題は、図を見ながら江戸時代の海上交通の状況と上手く結びつけられたかがポイントです。普段から一つの事柄を他の知識と関連付けて整理するという学習姿勢が求められる学校です。

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