桜蔭中学校の入試問題分析(2019-2021年)

2021年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 場合の数
大問3 水量変化とグラフ
大問4 速さ(点の移動)

今年度も例年通り、思考力を問う問題が並びました。また計算や処理の煩雑さにおいても大問1(1)の計算、大問2の場合の数、大問4の速さ(点の移動)等例年の本校のイメージ通りです。限られた時間の中で、ある程度平易な問題については確実に正解を出し、その上でレベルの高い問題にどれだけ立ち向かえるかがカギとなります。記述式の解答形式の問題に対しては、自分がどのように考えたかをまとめる練習が必要となります。

国語

大問1 論説文(稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる』)
大問2 物語文(森絵都『あしたのことば』)

桜蔭の国語の大問1で出題された稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる』は、今年度数多くの学校で出題された注目の作品です。大問2の森絵都『あしたのことば』は何と入試の4か月前に刊行されたばかりの作品です。大問1は巨視的な読解能力が問われる設問揃いです。大問2は読みやすい文章である反面、文中の表現技法の効果にまで踏み込んだ記述問題も出題されました。ただ、全体としては易しいレベルといえるでしょう。

理科

大問1 電磁石と磁界
大問2 植物の開花条件(傾性)
大問3 実験操作・硫酸銅の溶解度
大問4 江戸時代の不定時法について

例年より難化した昨年度に比べると今年度は解き易くなりました。大問3の計算問題は過去に他校で出題されていますので、類題を解いたことのある受験生もいたでしょう。大問4は見慣れない問題でしたので、文中のヒントを注意深く読み解く必要があります。本校は実験結果から考察する問題も多く出題されています。日頃から与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を見抜く力をつける学習、時事的な話題に触れることを意識しましょう。

社会

大問1 地理総合
大問2 人の移動の歴史
大問3 小問集合(公民分野・時事問題)

今年度は大問数が減少した一方で、小問数が例年よりやや増加して56問でした。論述問題は2問で、内容は典型問題です。最後の大問は例年通り公民・時事問題からの出題で、確実に得点したいレベルです。今年度の特徴は、正誤問題が複雑で難度が高く、また初めての出題形式だったことです。受験生は大いに戸惑ったことでしょう。但し、合格に必要なことは難解な知識ではなく、標準レベルの知識を正確に定着させて素早く処理する能力です。

 

2020年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 小問集合
大問3 立体図形
大問4 場合の数・数の性質

今年度も例年通り、思考力を問う問題が並びました。大問3の立体図形は難問で、本校では過去に多く出題されていたタイプのものです。近年は出題が減っていたこともあり、受験生は頭を悩ませたことと思います。限られた時間の中で、ある程度平易な問題については確実に正解を出し、その上で難問にどれだけ立ち向かえるかがカギになります。記述式の解答形式の問題に対しては、自分がどのように考えたかをまとめる訓練が必要です。

国語

大問1 説明文(角幡唯介『エベレストには登らない』)
大問2 物語文(まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』)

今春の桜蔭の国語は解答用紙を手に取ると分かるのですが、記述分量は例年と比較すると少ないといえます。その 分、1問1問に時間をかけて取り組むことが求められています。桜蔭の国語の難しさは、巨視的に文章を読めているかどうかを試す記述問題が盛り込まれているところです。桜蔭を目指す受験生は、その対策の第一歩として要約の練習を積むのが効果的でしょう。

理科

大問1 環境問題(二酸化炭素濃度と地球温暖化)
大問2 金属の密度
大問3 生態系の調査
大問4 さおはかり
大問5 氷の融解のようす

時事問題や科目横断問題が出題されることもある本校ですが、大問1ではパリ協定や京都議定書を答えさせる問題や、大問2の東京オリンピック、パラリンピックで授与されるメダルをテーマにした問題が見られました。難度は例年並みでしょう。実験結果から考察する問題も多く出題されています。日頃から、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を見抜く力をつける学習、時事的な話題に目を向けることを意識しましょう。

社会

大問1 地理総合(林業)
大問2 歴史総合(書籍)
大問3 歴史総合(昭和時代)
大問4 小問集合(公民分野)

大問数は昨年度よりも増えましたが、小問数は49問で例年通りです。論述問題はやや増えて6問になりましたが、分量は多くはなく、難度が高いわけでもないので受験生の負担が増えたとは言えないでしょう。最後の大問で出題される小問集合はここ数年は公民分野と時事問題で、標準レベルの問題が多いので確実に正答を積み重ねたいところです。幅広い知識の正確な定着と理解力を土台に、早く正確に解く練習を積み重ねていきましょう。

 

2019年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 平面図形
大問3 食塩水
大問4 時計算

今年度も例年通り、思考力を問う問題が並びました。3人でトーナメントを行う大問1( 3)や、特殊な設定の時計について考える大問4など、設問文が長い上に設定が難解な問題が多く、受験生は頭を悩ませたことと思います。限られた時間の中で、ある程度平易な問題については確実に正解を出し、その上で難問にどれだけ立ち向かえるかがカギになります。記述式の解答形式の問題に対しては、自分がどのように考えたかをまとめる訓練が必要です。

国語

大問1 論説文(山極寿一『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』)
大問2 物語文(中脇初枝『神に守られた島』)

昨年度に引き続き「200字」記述は出題されなかった本校の国語。しかし、大問1の論説文、大問2の物語文の設問を見ると、行間を深く読み込む能力と、短時間で相当な量の記述を完成させる技量が求められています。大問2の『神に守られた島』は武蔵中学校でも題材になった作品です。登場人物の気持ちの変化に丁寧に目を向けなければ太刀打ちできない問題ばかりです。近年の本校は国語で「差のつく」入試が多い気がします。今年度もその例外でないといえます。

理科

大問1 シュレーリン現象について・デンプン溶液の性質
大問2 電流と発熱・発電(電磁誘導)
大問3 血液循環(体循環にかかる時間・尿生成の計算)
大問4 黄道十二星座の見え方

昨年度同様、化学・物理分野で難解な計算問題が出題されず、生物・地学分野も標準的な問題だったことから、落ち着いて取り組めた受験生が多かったでしょう。大問3の人体で出題された計算は、本校を目指す受験生なら得点すべき問題でした。本校は実験結果から考察する問題が多く出題されます。日頃から、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣、本質を見抜く力をつける学習、時事的な話題に目を向けることを意識しましょう。

社会

大問1 日本の交通史
大問2 公民分野の小問集合

大問3題構成から、地理・歴史の総合問題と公民という2題構成に変更されました。しかし、小問数は昨年度と同じ49問であり、結果には影響がないと考えられます。短文論述も例年並みの3問の出題でした。難度が高いというよりは、全体的に知識の正確性と理解力が求められる出題内容です。大問2で出題された、「第一審が簡易裁判所でおこなわれた民事裁判の第二審は何裁判所でおこなうか」を問う出題はその典型です。事象や事柄への理解度を高める学習をしましょう。

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