中学受験算数で「周期」の問題を解くための考え方【規則性②】

「規則性」を扱う第2弾として、今回は“周期”に注目してみたいと思います。

実はこの“周期”についても“群数列”とよばれる数列の一種ではありますが、今回は“周期”という括りの中で記していきたいと思います。

群数列の問題を"タテ積み"の活用で攻略する

問1「群数列」

次のようなきまりで数を並べていったとき、次の問いに答えなさい。
$1, 2, 5, 3, 2, 1, 2, 5, 3, 2, 1, 2, \dots$

(1)$49$番目に並ぶ数字を求めなさい。
(2)$49$番目までに$2$は何個並びますか。

今回の求め方についても“公式当てはめ”にならないよう、しっかり成り立ちを理解しながら進めていきましょう。

(1)を"タテ積み"を活用して考えてみる

1周期(セット)は、「$1, 2, 5, 3, 2$」の$5$個ですので、それをタテに並べてみると、

$\begin{eqnarray}1, 2, &5&, 3, 2\nonumber\\
1, 2, &5&, 3, 2\nonumber\\
&\vdots&\nonumber \end{eqnarray}$

となりますね。$49$番目までに$5$個ずつの周期(セット)がいくつあるのかを求めてみると、
$49 \div 5=9$(周期)$\dots 4$(個)となり、

$\begin{eqnarray}① 1, 2, &5&, 3, 2\nonumber\\
② 1, 2, &5&, 3, 2\nonumber\\
&\vdots&\nonumber\\⑨ 1, 2, &5&, 3, 2\nonumber\\ ⑩ 1, 2, &5&, 3\nonumber \end{eqnarray}$

$49$番目は$10$周期目の$4$個目である$\underline{3}$ということがわかります。
こういった理解するための書き方(“タテ積み”)も大切ですね。

(2)も"タテ積み"による視覚的な理解が鍵

(2)についても同様です。1周期の中に$2$は$2$個ずつありますね。これが$9$周期(セット)あり、最後の$10$周期目には$1$個しかありません。よって、

$2$個$\times 9$周期$+1$個=$\underline{19}$(個)

となります。

この時も上記“タテ積み”による視覚的な理解が大切ですね。

循環小数の問題を"タテ積み"で攻略する

問2「循環小数」

$\frac{16}{37}$を小数になおしたとき小数第$47$位の数は□です。

この問2も“群数列”の問題の一つです。$\frac{16}{37}$を小数になおしてみると、

$ \frac{16}{37}=0.432432432\dots$

と、$1$周期(セット)が「$4,3,2$」の$3$個ずつであることがわかります。小数第$47$位の数は、
$47 \div 3=15$(周期)$\dots 2$(個)となり、

$\begin{eqnarray}① 4, &3&, 2\nonumber\\
② 4, &3&, 2\nonumber\\
&\vdots&\nonumber\\⑮ 4, &3&, 2\nonumber\\ ⑯ 4, &3&\nonumber \end{eqnarray}$

$16$周期目の$2$番目である$\underline{3}$ということがわかります。

分数と循環小数の関係の知識

ちなみに$\frac{16}{37}$を小数になおす際、もちろん“分子$\div$分母”で求められますが、

$\frac{16}{37}=\frac{16 \times 27}{37 \times 27}=\frac{432}{999}=0.432432432\dots$

といった、分数と循環小数の関係を知識として持っていることも大変素晴らしいことだと思います。

個数増殖の問題を"タテ積み"で攻略する

問3「個数増殖」

いくつかの数字がある規則で、次のようにならんでいます。
$1, 1, 2, 1, 1, 2, 3, 2, 1, 1, 2, 3, 4, 3, 2, 1, \dots$

(1) はじめから$150$番目にならんでいる数字は何ですか。
(2)$14$がはじめて出てくるのは、はじめから数えて何番目ですか。

$1$周期(セット)の個数が増えていくタイプです。問2までと同様“タテ積み”にして見てみましょう。

$\begin{eqnarray}① &1&\nonumber\\
② &1&, 2, 1\nonumber\\③ &1&, 2, 3, 2, 1\nonumber\\ ④ &1&, 2, 3, 4, 3, 2, 1\nonumber \\&\vdots&\nonumber\\\end{eqnarray}$

$1$周期目の個数は$1$個、$2$周期目の個数は$3$個、$3$周期目の個数は$5$個、$4$周期目の個数は$7$個、$\dots$と$1$周期(セット)の個数が$1, 3, 5, 7, …$と増えていっていることがわかります。

はじめから$150$番目は$12$周期目までの個数が、

$1$個$+3$個$+5$個$+7$個$+…+23$個$=144$(個)

なので、次の$13$周期目の$6$番目ということになります。よって、
$⑬ 1, 2, 3, 4, 5, \underline{6}, \dots$

(2)の攻略法

(2)では、あらたな数字がはじめて出てくるのはその周期(セット)の真ん中であることがわかりますね。よって$14$は、$14$周期目の真ん中($14$番目)に出てきます。

手前の$13$周期目までが、

$1$個$+3$個$+5$個$+7$個$+\dots +25$個$=169$(個)

なので、

$169$個$+14$個$= \underline{183}$(番目)

となりますね。

「L.C.M.セット」の問題を"タテ積み"で攻略する

問4「L.C.M.セット」

$1$から$50$までの整数について、$2$でも$3$でもわりきれない整数は何個ありますか。

該当する整数に□印をつけてみると、

$\fbox{1}, 2, 3, 4, \fbox{5}, 6, \fbox{7}, 8, 9, 10, \fbox{11}, 12, \fbox{13}, 14, 15, \dots$

どんな周期(セット)になっているでしょうか。
$2$と$3$の最小公倍数(L.C.M.)にあたる$6$個ずつを$1$周期として“タテ積み”にして見てみると

$①  \fbox{1}1, 2, 3, 4, \fbox{5}, 6$
$②  \fbox{7}, 8, 9, 10, \fbox{11}, 12$
$③  \fbox{13}, 14, 15, \dots$

のように、1周期にきれいに2個ずつあることがわかりますね。よって50までであれば、

$50 \div 6=8$(周期)$…2$

となりますね。ただし、余りの$2$には注意が必要です。$8, 9$周期目を見てみると、

$⑧  \fbox{43}, 44, 45, 46, \fbox{47}, 48$
$⑨  \fbox{49}, 50, \dots$

となっており、$50$は公倍数$48$に$2$加えたものという意味ですね。その中には該当する整数は$49$の$1$個だけです。したがって、
$2$個$\times 8$周期$+1$個$=\underline{17}$(個)
が正解となります。

「あまり分類」の問題の攻略法

さて、ここからは“周期”の考え方の中でも“余り”に注目した問題を見ていきたいと思います。

問5「あまり分類」

次のようなきまりで1から153までの整数をグループ分けしました。
(1)$32$はどのグループにはいりますか。
(2)Bにはいる整数は何個ありますか。

もちろんこれも$5$個ずつの“周期”となっていますが、今回は“余り”によって分類してみたいと思います。$5$で割った余りで分類してみると、

となっていますね。よって$32$は、

$32 \div 5=6$(周期)$\dots 2$

より、余り2のグループであるとなりますね。

(2)では、

$153 \div 5=30$(周期)$\dots 3$

なので、全てのグループが30周期はきちんとあって、A, B, Cのグループだけはあと$1$個あることがわかります。よって、
$30+1=\underline{31}$(個)

日暦算の問題で"余り"による分類を活用する

問6「日暦算」

$6$月$8$日が木曜日のとき、$7$月$21$日は何曜日ですか。

【問5】の“余り”による分類を利用してみましょう。一週間は$7$日なので、$7$で割った余りで分類してみると$8$日が木曜日なので、$6$月のカレンダーは、

となっていますね。$6$月であれば上の余りで曜日が分類できますが、問われているのが次の月の$7$月$21$日となってしまっています。$7$月に入ると上の余り分類ではくるってしまうので、$7$月$21$日を$6$月として考えてみると、

$21+30=51\Longrightarrow 6$月$51$日

となりますね。こうすれば$6$月のカレンダーにおける余りで分類することができます。よって、
$51 \div 7=7\dots 2$
余りが$2$の曜日なので、金曜日となります。

「フィボナッチ数列の余り」に関する問題

最後に今年度($2023$年度)入試において、多くの学校で取り上げられた“フィボナッチ数列の余り”に関する問題に触れてみたいと思います。

問7「フィボナッチ数列の余り」

次のようなきまりで数が並んでいるとき、次の問いに答えなさい。
$1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, \dots$

$150$番目までに$4$の倍数はいくつありますか。

前回ご紹介した“フィボナッチ数列”ですね。このままの数の並びでは“周期”が見つけられません。そこで、$4$で割った余りを並べてみましょう。

$1$周期(セット)が、$1, 1, 2, 3, 1, 0$の$6$個ということがわかりましたので、

$150 \div 6=25$(周期)$\dots 0$

となり、
$25$周期(セット)ぴったりあることがわかりました。

$1$周期(セット)に$4$の倍数($4$で割った余りが$0$)は$1$個ずつありますので、
$1$個$\times 25$周期$=\underline{25}$(個)

実験・検証する中で規則性・法則を発見する

“周期”といった規則性を発見する行動は、ただ数が並んでいる問題だけですることではありません。

特に今の中学入試においては、最初の見た目だけでは判断がつきにくいことを“実験・検証”する中で、規則性・法則を発見させるといった問題が本当に増えています。

その中で、上記のような様々な種類のものに触れておくことは判断スピードの助けとなると思います。

おすすめの記事