SDGsについてどのくらい理解していますか
今回はSDGs(持続可能な開発目標)について取り上げた児童文学作品、「おはなしSDGs」というシリーズを紹介します。
SDGs:持続可能でよりよい世界を目指す国際目標
2015年にニューヨークの国連本部で開催された世界サミットで、SDGsが世界共通の目標として掲げられてから8年が経ちました。
SDGsは中学入試でも理解が必須
2020年度から実施されている新学習指導要領には、「SDGsの担い手を育てること」が明記されており、小学校の授業で必ず学習することになっています。
また、中学受験においては、「社会」の科目を学ぶ際に押さえておくべきキーワードとして取り上げられますし、実際の入試問題でも知っていることが前提の問題が多く出題されています。
物語を読むことで様々な問題に出会い、考えるきっかけに
しかし、「SDGsを子どもに知ってほしい」「SDGsを学ばせたい」と思っても、生活に馴染みのあるものだったらまだしも、どう伝えていけばよいかイメージが湧かないものも多くあると思います。
今回紹介するのは、世界で起きている様々な問題に物語を読むことで出会い、考えるきっかけになるシリーズです。
おはなしSDGSシリーズの魅力
色々な書き手が、SDGsの17のゴールのうちの1テーマを受けもち、1冊完結のお話を紡ぎます。各児童文学賞受賞作家やベストセラー作家など、現代を代表する一流童話作家の書き下ろし作品というわけです。
「物語の楽しさ」を第一に書かれた作品は、どの一冊をとっても、すぐれた児童小説として楽しむことができます。
数字によってもたらされる「現実のインパクト」
挿絵を描くイラストレーターも本ごとに異なり、表紙だけでもそれぞれまったく違う印象を受けます。
各巻の巻末では、テーマとしたSDGsのゴールについてくわしい解説があります。子どもたちがこの本を通して、それぞれのゴールのイメージを正しく持ち、自分事として身近なところから問題意識を持つことができればと思います。
「ジェンダー平等」を2人の目線で
17のゴールそれぞれのお話と、総集編を合わせて全18巻のシリーズとなっています。ここでは「5ジェンダー平等を実現しよう」というゴールについてのお話を紹介します。
中学受験の入試問題においても頻出作家である、戸森しるこさんの描き下ろしです。『すし屋のすてきな春原さん』という、「す」という音で韻を踏んだタイトル、表紙には柔らかいタッチでお寿司をにぎる板前さんと、それを見る2人の子どもたちがいます。
子どもたちの気づきを引き出す伏線
お話の途中には日本のジェンダーギャップ指数や、職業ごとの男女差、男女間の賃金格差が載っており、日本の男女差の現実を良く表しています。
また、伝の家庭がステップファミリーであることや、学校でのあだ名による嫌がらせの経験など、ジェンダー平等以外にも子どもたちの気づきを引き出す伏線が敷かれています。
『SDGsおはなし絵本 やさしくわかる17の目標』
「おはなしSDGsシリーズ」がまだ読み切れないような低学年の子どもであっても、お話を通して学ぶことができるのが、松葉口玲子さん監修の『SDGsおはなし絵本 やさしくわかる17の目標』です。
幼年童話なので全体を通してイラストが多く、幼い子どもたちであってもSDGsを難しいものと捉えずに、自分も含めて「みんなで考えなければいけないこと」と理解できればよいのかなと思います。
絵と優しい言葉で現実を分かりやすく伝えてくれる
例えば1巻におさめられた『きのみのかずは?』ではスズメを主人公に、読み書きや計算ができないとなぜ困るのか、教育を受けられない子どもたちがいるという現実を分かりやすく伝えます。
また、『もしもトイレがなかったら』 というお話はたったの6ページですが、かわいらしい絵と易しい言葉で、安心して健康にくらすためにはトイレが必要であることを説明します。
SDGsについて学ぶことは、世界が抱える問題を理解し、世界と自分たちがつながっていることに気づかせてくれます。親子で読むことで会話を広げ、学びの入り口にしてほしいと思います。