慶應義塾中等部の入試問題分析(2019-2021年)

2021年

算数

大問1 小問集合
大問2 小問集合(割合)
大問3 小問集合(図形)
大問4 速さとグラフ
大問5 整数問題(コラッツの予想)
大問6 場合の数(カタラン数)

小問数全20問のうち、大問1から大問3の14問は基本的なレベルの問題が並びますが、中にはかなり高い処理能力を要求されるものも見られました。大問5・6は他校でも出題されたことのある問題で、解きやすさを覚えた受験生も多くいたかもしれません。本校の対策としては、短時間で精度良く正答を求められる計算力と、難問に対しても粘り強く考える習慣を身につけましょう。

国語

大問1 物語文(出典不明)
大問2 論説文(出典不明)
大問3 文学作品・著者
大問4 共通する漢字を答え、熟語を完成させる
大問5 漢字の書き取り

出題構成は例年通りです。大問3・4は毎年ユニークな問題が多いです。今年度は大問4、空欄の漢字を八つ考え、それらを組み合わせて熟語を三つ作るという問題です。問題全体を通して、日々の生活の中で見聞きしているものの、無意識に受け流してしまっている「盲点」がポイントだろうと感じます。遊び心とでもいうのか、学びはもっと生活に根ざしているのではないかという意図が読み取れます。対策は選択問題の正確性を鍛えることです。幅広い知識も身につけましょう。

理科

大問1 月の満ち欠け
大問2 物質の特徴
大問3 ほ乳類について
大問4 水溶液と指示薬
大問5 樹木について

今年は5題構成でした。毎年のように大問数が変化しています。また、今年は記述問題が出題されました。出題内容の大半は頻出問題ですが、与えられた図表から答えを予測する問題、かなり細かな知識を問われる問題も出題されます。頻出問題における失点は許されず、高得点勝負になっていると思われます。各分野、各単元の知識を偏りなく学習し、過去問演習を通して25分間で効率よく、精度よく問題を解く訓練をしておきましょう。

社会

大問1 日本の貨幣・紙幣について
大問2 福沢諭吉の生涯
大問3 地図の読み取り
大問4 感染症の歴史
大問5 近現代の日本の地震

小問数が激減した昨年度と変わり、今年度はやや増加して42問でした。過去3年間は論述問題が目立っていましたが、今年度は制限字数が少ない2問だけの出題となり、縮小傾向です。ただし、出題形式が毎年変化するのが本校の特徴なので、対策は必要でしょう。時事問題と地図の読み取りも対策は必須です。大半が選択式の出題ですが、「織田信長」の解答に対する設問が「永楽通宝を旗印として使った戦国武将は誰か」のように、短答式には難度が高いものも含まれています。

 

2020年

算数

大問1 計算・循環小数・場合の数
大問2 通過算・約数の和・速さ・割合
大問3 ベンツ切り・角度・面積・回転体
大問4 水とグラフ
大問5 群数列
大問6 立体図形・調べ上げ
大問7 和と差・調べ上げ

問題量、難易度ともにほぼ例年通りで高得点勝負になったことでしょう。ただ、今年度は大問3の角度、大問6の立体図形などやや難易度の高い問題の多くが図形分野だったことが特徴的です。本校の算数はスピードと正確さが要求されます。標準的な問題をミスなく解き進められるように時間を意識した学習を心がけましょう。昨年度に続 き、今年度も大問7は思考力問題が出題されました。少し時間をとって考える問題にも慣れていった方がよいかもしれません。

国語

大問1 随筆文(出典不明)
大問2 論説文(出典不明)
大問3 ことわざ
大問4 同音異義語
大問5 漢字の書き取り

大問1の随筆文はロッジでおこなわれる恒例の句会に久しぶりに参加した筆者の話です。唯一の記述問題(25字)があります。大問2は「令和」という言葉から長音の使い分けについて述べられています。大問3・4は基本問題です。大問5の漢字も「白磁」という語以外は漢字テキストで十分に対応できるレベルです。総合すると、全体的に 易しい問題が揃っていました。バラエティに富んだ問題なので、優先順位をつけることなくバランスのとれた学習が必要です。韻文にも触れておくようにしましょう。

理科

大問1 植物と昆虫・光
大問2 電気回路
大問3 夏と冬の星座・太陽系
大問4 溶解度

昨年は大問5題構成でしたが、今年は4題構成になりました。各分野から出題されます。記号選択問題であること、一度は目にしたことのある頻出問題を中心に構成されていることから、ミスでの失点は許されず、かなりの高得点勝負になっていることが予想されます。まずは各分野、各単元の知識を偏りなく学習した上で、過去問演習を通して、25分間で効率よく、精度よく問題を解き進める訓練をしておくと良いでしょう。

社会

大問1 国民の祝日
大問2 日本国憲法
大問3 歴史総合(対外関係)
大問4 持続可能な社会

小問数が激減し、昨年度と比較してほぼ半分(27問)になりました。2年連続で出題されていた制限字数のない論述問題は姿を消しましたが、30字以内と80字以内の論述問題がそれぞれ1問ずつ出題されています。全体的な難度はそれほど高くありませんが、大問2の問2や大問4の問1や最後の論述問題のように本質を理解していないと勘違いをしてしまう問題も含まれています。本校の受験生は、世の中や社会的な出来事に関心を持つことが求められます。

 

2019年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 文章題小問集合
大問3 図形小問集合
大問4 速さ
大問5 容器と水
大問6 点の移動
大問7 条件整理

例年通りの平易な設問が並ぶ、高得点勝負のセットになっています。例年の傾向としては、数の性質や数表などがよく出題され、図形についてはレベルが高いパターン問題が頻出します。条件整理・調べに関しても、手を動かして答えにたどり着く訓練をしておくとよいでしょう。基本的には毎年同じ出題傾向ですが、解答用紙の解答欄は特殊な形式ため、慣れが必要です。過去問を使って練習をしておきましょう。

国語

大問1 随筆文(出典不明)
大問2 論説文(出典不明)
大問3 口語表現
大問4 畳語(同一の単語を重ねて一語とする語)
大問5 漢字の書き取り

大問1の随筆文は九尾の狐という妖怪にまつわる話でした。筆者がその伝説に縁のある地を訪れている場面です。唯一の記述問題(25字)があります。大問2は「おかわり」という言葉の考察を通して言語の概念のとらえ方を述べた文章です。総合すると、全体的に易しい問題が揃っていました。バラエティに富んだ問題なので、優先順位をつけることなくバランスのとれた学習が必要です。韻文にも触れておくようにしましょう。

理科

大問1 太陽の動きと気象
大問2 物質の性質
大問3 流水のはたらき
大問4 光合成
大問5 水圧

大問5題構成で各分野よりまんべんなく出題されます。記号選択問題であること、一度は目にしたことのある頻出問題が中心で構成されていることから、ミスでの失点は許されず、かなりの高得点勝負になっていることが予想されます。まずは各分野・各単元の知識を偏りなく学習をした上で、過去問演習を通して、25分間で効率よく・精度よく問題を解き進める訓練をしておくと良いでしょう。

社会

大問1 日本のすがた
大問2 明治維新150年
大問3 元号
大問4 史跡
大問5 戦後の日本
大問6 2018年のスポーツイベント
大問7 食品ロス

傾向に変化が見られた昨年度に続き、今年度も出題構成に変更がありました。ほとんどが選択式ですが、小問数が50問を越え、ここ数年ではもっとも多い出題数です。さらに、制限字数のない論述問題が昨年度の1問から4問に増加しました。大問7は小問3問すべてが資料読み取りの論述問題となっています。処理能力も問われ、難化しました。本校では、地図問題、歴史上の出来事の並べ替えの問題が定番です。全体としては幅広い知識と社会・世の中への関心が求められます。

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