入試問題に取り上げられた時代小説を読んでみよう

入試問題に取り上げられた時代小説を読んでみよう

今回は、2025年度の鷗友学園女子中の問題で取り上げられた小説を紹介したいと思います。鷗友学園の国語の入試問題は毎年、温かく読み口の良い文章が選ばれている印象があります。文章のジャンルは幅広く、ここ数年の間に出版された作品とも限りません。

江戸時代を舞台にした時代小説からの出題

中学受験では、しばしば時代背景が異なる小説からの出題がありますが、 今年の第一回入試では、なんと江戸時代を舞台にした時代小説が取り上げられました。

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時代小説は地の文だけでなく、会話の中にも昔の言葉が使われていますし、聞き慣れない名前や立場の把握でつまづいてしまう子も多いです。小学生にとっては、普段から本に親しんでいる子でも敬遠してしまうようなジャンルかもしれません。

時代小説の魅力に出会うきっかけに

言葉遣いでハードルが高く感じてしまいがちですが、現代とは異なる時代背景や文化を味わえるのは時代小説の醍醐味です。江戸、戦国、幕末など、それぞれの時代ごとに異なる価値観や生活様式を知ることで、まるで歴史の中を旅しているような気分になることも。

これまで時代小説が出典になっていた入試問題で記憶に新しいのは2024年度に、江戸時代後期が舞台の浅田次郎著『流人道中記』を出題した市川中。少し遡ると2021年度の頌栄女子中の第二回入試にて、戦国時代末期が舞台の司馬遼太郎 著『国盗り物語』を出典に、明智光秀や織田信長のやり取りの場面が取り上げられたことがありました。
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時代小説を入試問題の出典に、と選ぶ先生方も、そのような魅力を味わうきっかけになってほしいと考えているのかもしれません。実際に鷗友学園の先生も、ぜひ出典となった本を通して読んでみてほしいとお話されているのを聞いたことがあります。自分から手に取ることがなかった思いがけない1冊に出会えるのは、入試問題ならではの楽しみです。

江戸時代の和菓子屋さんが舞台

田牧大和さんの『甘いもんでもおひとつ』は、江戸時代の神田を舞台に、小さな和菓子屋「藍千堂」を営む兄弟の物語です。

菓子職人の兄・晴太郎と、商才に長けた弟・幸次郎は、職人の茂市と共に店を切り盛りしています。 2人は、亡き父が一代で築いた名店「百瀬屋」を叔父に追われることとなり、自分達の店として職人の茂市に助けられながら「藍千堂」を立ち上げました。

読み手の心を暖かく包み込む作品

江戸の四季と人情がやさしく描かれ、兄弟の奮闘と成長、そして和菓子を通じた人々との触れ合いが、読み手の心を温かく包み込む作品です。 町の賑わいや風景、そして柏餅、青柚子の葛切、柿入りういろう餅 など、季節ごとのおいしそうな和菓子の描写は物語に彩りを添えています。

聞き慣れない言葉も響きやリズムを楽しんで

普段聞き慣れない言葉であっても、響きそのものが心地いいということがあります。時代小説で使われる言葉はリズムも独特ですから、そのようなリズム感のあるセリフの言い回しを感情を込めて声に出してみるのもおもしろいかもしれません。時代小説ならではの「文章を読む楽しさ」は、現代小説とはまた違った味わいがあります。

「大人の事情」に自然と出会うのも読書の効用

また、本作を含め、子ども向けに書かれたものではない小説には、読み進める中で子どもにとって少し背伸びしなければわからないような「大人の事情」がでてくることがありますが、そういったものに自然と出会っていくことも読書の効用だと思うのです。

もちろんまだ早いかどうかを決めるのはご家庭だと思いますが、小学校の高学年は本の一人立ちをするのにちょうど良い時期ではないでしょうか。

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畠中恵『しゃばけ』シリーズ――時代小説の入門にはこちら

もし、時代小説をもっと読んでみたいと思ったら、畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズがおすすめです。2001年に刊行されてから、昨年までに23巻が刊行、シリーズ累計発行部数は1000万部を超える大ヒットロングセラーなのでご存じの方も多いかもしれません。

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江戸の大店「長崎屋」の若旦那である一太郎を主人公にした、あやかしと人間の交流を描く時代ファンタジーで、頭は切れるのに体が滅法弱い一太郎を守るのは店に仕える妖たち。

ある日、一太郎の周囲で奇妙な事件が起こり、彼は妖たちの力を借りながら謎を解いていくことになります。少しのミステリー要素もありながら、個性豊かな妖との掛け合いはユーモアと温かみがたっぷりです。 ストーリーもわかりやすく小学生から楽しめますので、親子で一緒に読めばきっと会話が弾むこと間違いなしです。

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