開成中学校の入試問題分析(2016-2018年)

2018年

算数

大問1 計算・小問集合
大問2 平面図形と規則性
大問3 数表(連続した整数の和)

受験者平均点は62.0点(72.9%)、合格者平均点は73.9点(86.9%)となり、この15年で最も高い点数を記録しました。平成25年度以来の小問集合形式となった大問1と、大問2はともに難易度が低く、事実上大問3の出来で勝負が決まるような問題構成だといえます。本校を目指すにあたっては、標準的な問題を確実かつスピーディーに解く能力と、難問に粘り強く取り組む姿勢が求められます。

国語

大問1 物語文 (青木美智子『きまじめな卵焼き』)
大問2 グラフの読み取りと記述
大問3 二字熟語の知識

「ビックリ箱」と形容される開成の国語ですが、今年度はまさにその形容表現がぴったりくるのではないでしょうか。教育業界でも話題になったのが大問2のグラフの読み取り問題。2020年度からの大学入試改革を先取りしたような自由記述です。本校の受験生にはさほど多くはないでしょうが、都立中高一貫校向けの学習もおこなっていた人は有利だったかもしれません。一方、大問1はオーソドックスな物語文です。心情変化など文章を俯瞰できる能力が試されています。

理科

大問1 てこのつり合い
大問2 昆虫
大問3 溶解度の計算・二酸化炭素の性質
大問4 天体総合(七曜の起源)

合格者平均点は58.2点(83.1%)で、例年通りの高得点勝負となりました。大問1の問6・7は数式処理で解を求めるため差がついたと思われます。また、大問4の問4は題意を捉えられたかどうかが成否を分けたでしょう。全体として開成合格を目指して対策してきた受験生には平易な問題が多く見受けられました。失点を最小限に抑えるために、確固たる基礎力と思考力を身に付けること、難問や初見の問題をじっくりと考えることの2点を意識して学習しましょう。

社会

大問1 歴史総合
大問2 小問集合

2年連続で難度の高い出題内容でしたが、今年度はやや易化し、合格者の平均得点率は昨年度の69%から76.8%に上昇しました。今年度はオリンピックに絡めた大問1が比較的取り組みやすくなっています。3年連続で東京都に関係する知識を問う出題も見られました。大問2はさまざまな単元を集めた小問が並び、グラフの読み取りや細かい知識を問う内容で、差がついたと思われます。日頃から知識を貪欲に取り入れることが求められます。

 

2017年

算数

大問1 計算・数の性質
大問2 長方形の分割とグラフ
大問3 比例式と平方数の利用
大問4 三角柱の水そう

合格者平均は54.8点(64.5%)、受験者平均が40.1点(47.2%)と昨年並みの平均点となりました。昨年に引き続き難しい問題だったと言えるでしょう。大問2は問題の設定を確実に読み取ることが求められました。この問題のみ途中経過の記述を求められませんでしたので、勘違いをしてしまうと大量失点につながりました。本校を目指すにあたっては、数や立体に対する理解を深めるとともに、はじめてみる問題に粘り強く対応するトレーニングが必要でしょう。

国語

大問1 物語文(南木佳士『ニジマスを釣る』)
大問2 詩(佐藤義美『アイスクリームのうた』)

開成の国語は「ビックリ箱」と形容されるように、出題傾向の読みづらい学校です。今年度のトピックは3年ぶりに詩の単独問題が出題されたことでしょう。大問1の物語文は5問の記述問題が出題されていましたが、解答欄から分かるように膨大な字数を要するわけでもなく、かつ決して難しいものではありません。ここでしっかりと得点できる記述作成が必要です。受験者平均点は丁度5割(42.4点/85点満点)でした。

理科

大問1 ガスバーナーに関連した知識問題
大問2 流水や氷河による地形
大問3 動物や植物の受精卵の比較
大問4 てこと浮力の融合問題

合格者平均点は61.5点(約87.9%)で、例年通りの高得点勝負となりました。大問2の河岸段丘についての問題にやや戸惑う受験生はいたかもしれませんが、全体を通じて開成合格を目指して対策してきた受験生には比較的平易な問題が多かったのではないでしょうか。失点を最小限に食い止めるために、確固たる基礎力と思考力を身に付けること、難問や初見の問題をじっくりと考えることの2点を意識して学習しましょう。

社会

大問1 歴史総合(江戸図屏風から探る東京の歴史)
大問2 地理総合(人やものの移動)

昨年度からの傾向で難度が上っています。3年前までの合格者平均点は90%前後の得点率でしたが、この2年間は70%前後になっています。昨年度同様に論述問題は2問のみ、今年度も東京に関する長いリード文を読ませる問題、世界地理からの出題があり、また「うだつ」や免税店、民泊、駅ナンバリングなど社会的な常識や時事問題なども以前より出題されるようになりました。とにかく幅広い知識と大量の問題を的確に速く処理する能力が必要とされます。

 

2016年

算数

大問1 速さと⽐
大問2 仕事に関する問題
大問3 場合の数
大問4 平⾯図形

合格者平均は53.7点(63.2%)、受験者平均が39.7点(46.7%)と最近10年の中で最も低い平均点となりました。今年の本校の算数は、例年頻出の⽴体図形や数の性質などが出題されませんでした。また、⼤問1の速さの問題は、坂道の⾓度と速さの増加の割合を対応させて考えるという、あまり⾒かけない問題でしたので、題意をくみ取るのに時間がかかってしまった受験⽣も多かったのではないでしょうか。本校を⽬指すにあたっては、⾻太な応⽤⼒を⾝に付けることが⼤事でしょう。

国語

大問1 随筆⽂(星野道夫『アラスカ 光と⾵』)
大問2 物語⽂(吉⽥修⼀『つまんない』)
大問3 漢字の書き取り

今年度の合格者平均点は48.4点、受験者平均点は41.0点でした(85点満点)。⼤問1は⽂学的な随筆⽂であるため、2題とも物語⽂を解いているような気分にさせられます。⼤問1は⽂章を俯瞰しなければ太⼑打ちできない問題が揃っています。⼤問2は設問の条件をみると分かる通り、かなりかっちりとした「型」の記述を作成することが求められています。難しい問題はないように思えますが、得点状況から考えると記述の採点はかなりシビアにおこなわれていることが分かります。

理科

大問1 星座早⾒盤
大問2 物質の分離操作と同定
大問3 消化液のはたらき
大問4 コンデンサー・光電池

合格者平均点は61.4点(約87.7%)で、今年度も⾼得点勝負となりました。⼤問4はコンデンサーと光電池を使った実験についての会話⽂を読み、結果から考察していく問題でした。丁寧に読み進めるとともに、与えられた図表を整理することが必要で、差がついた問題だったでしょう。近年、易化傾向にある本校ですが、確固たる基礎⼒と思考⼒を⾝に付けるとともに、難問や初⾒の問題をじっくりと考えることを意識して学習しましょう。

社会

大問1 歴史総合(隅⽥川と流域の歴史)
大問2 地理総合(⽇本の貿易)

昨年度の合格者平均点は62.0点(88.9%)で3年連続の⾼得点勝負でしたが、今年度の合格者平均点は51.0点(72.9%)です。⼤問1は東京に関するリード⽂を読ませる問題が復活し、⽔塚や岩淵⽔⾨、回向院の観臓記念碑と関係する⼈物、 1940年にオリンピックと並んで開催される予定だった万国博覧会を答えさせるなど全体的に難度が⾼めです。⼀⽅で⼤問2は易しく、2問出題された短⽂論述問題も基本レベルでした。東京都の地形や統計数値、歴史に関する対策は必要です。

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