先日のことです。「先生、『八方美人』ってどういう意味ですか?」と聞かれました。
メインテキストには四字熟語とともにその意味も書かれているので、「読めばわかるでしょ」で済む話でした。しかし、膨大な量の四字熟語を目の前にして困り果てていた生徒を見て、覚え方のヒントを伝えられたら、多くの語を身につけることが容易くなるのではないかと思い、かみ砕いて説明しました。
- まず、「八方」の意味は?
⇒ 「八方位なら言えるよ!」 - 次に、「美人」の意味は?
⇒ 「うーん、お母さんのこと!」 - では、テキストで意味を確認しよう!
⇒ 「誰に対しても愛想よくふるまうこと」 - 少し言葉のイメージがわいたかな?
⇒ 「なるほど、分解して意味を考えてみるといいんだ!」
といったやりとりをしました。
最後に軽く冗談を言い、二人で笑って質問は終了しました。
「いいから覚えなさい」は「努力不足」を指摘するためのワード
この生徒の成長は、ここまでの過程を振り返り、学習法のヒントを得て④のせりふを言えたことです。私の立派なところは①②③と段階を踏んで指導したことです。
「いいから覚えなさい」というのはありがちな指示ですが、これはあくまで「努力不足」であることを指摘するためのワードだと思います。
すっと覚えられる知識なら全く問題ありません。しかし、「知りたいのにどうしたらいいのかわからない」という引っ掛かりがあるときほど、実はより強固に定着する可能性が高いのです。
だからこそ、順を追って覚え方のヒントを伝え、ダメ押しに冗談を言うことでストーリー化しました。
これでこの生徒は少なくとも「八方美人」という四字熟語を忘れることなく入試を迎えることができることでしょう。いや、この言葉を使って会話をしたり文章を書いたりするようになるかもしれません。
「イメージする」ことで多くを学べる
このように「イメージする」、または「推理する」という作業を加えることで思っているよりも多くのことを学ぶことができるはずです。
「覚えるために覚えようとする」というような、自らすすんで学習をつまらなくするような作業はやめて、イメージ!イメージ!イメージ!を徹底していけば、結局テストで間違ってしまったことさえも、次の正解につながる「ストーリー」になってしまいますよ。