先日、5年生に「気象」の授業をおこないました。
中学入試には「気象要素(気温・湿度・風など)の観測方法」や「日本の天気」などが出題されますが、近年では猛暑や豪雨などの自然災害がいかにして起こるのかというメカニズムについて問うものも見られます。
雲は10種類の基本形に分けられる――「十種雲形」
気象の学習で子どもたちが最も身近に感じるものの1つに「雲」があります。
刻一刻と形を変えていく雲ではありますが、実は特別なものを除くと全部で10種類の基本形からなることを皆さんはご存知でしょうか。これを「十種雲形」といい、国際会議で決められているために日本だけではなく世界共通となっているのです。
分類の仕方
その分類は高さ・形(降水の有無)などによって行うことになっており、分類された雲の名称を見てみると以下のようなルールを基に、5つの漢字の組み合わせで名付けられていることが分かります。
中層…「高」
下層… なし
水平に広がる…「層」 ※層状
雨を降らせる…「乱」
「十種雲形」
上記を組み合わせると、以下のように10種類の雲を答えることができます。
中層雲 … ④高積雲 ⑤高層雲
下層雲 … ⑥層積雲 ⑦層雲 ⑧積雲(中層にまでのびることあり)
降水あり … ⑨乱層雲(主に中層)⑩積乱雲(下~上層)
「用語はできるだけ漢字で覚えよう」
私の授業では、上記10種類の雲を「漢字で書けるようにしよう!」と伝えています。
これは単に入試で問われるからではなく、「漢字には意味がある」ということ、つまり「用語はできるだけ漢字で覚えようね」ということを、おさえるべき知識量が増える新5年生の学習が始まったタイミングで心に留めてもらいたいと考えているからです。
例えば「巻層雲」という雲は「巻=高いところにできる」「層=横に広がっている」というように、名称からどのような雲なのか特徴がつかむことが容易にできます。
机上の勉強だけではなく、実物を見て印象付けることも大切
今回は雲を例に、漢字そのものが持つニュアンスを知れば、用語の意味を類推できることをご紹介しました。他にもたくさんありますので、それらはまたの機会にしたいと思います。
最後になりますが、机上の勉強だけでは限界があります。やはり実物を見て、印象付けることも大切です。
最近は気の滅入るようなニュースばかり…そんな時こそ空を見上げてみるのはいかがでしょうか。今、皆さんが目にしている雲とは一期一会。その瞬間の空の「表情」をぜひ楽しみましょう。