理科計算は基準を見つけて倍率計算①【理科学習のイロハ】

5年生で計算単元を扱うことが増えてきました。
それとともに「うちの子は計算が苦手で……」といったご相談をよく受けるようになります。

理科の計算の基本は「比例」と「反比例」

計算問題(特に力学や化学計算)を苦手にする生徒の多くは、解く上での必要な手順がいい加減になっている傾向にあります。

理科の計算の基本は「比例」や「反比例」です。基準となるデータを見つけ、倍率計算をする問題がほとんどですので、2量の関係をつかむためのメモ書きが重要になってきます。

手順を守らず、メモ書きもない……そして解けない、となれば要注意。声をかける必要がありそうです。

「ばね」の問題から学ぶ「メモの仕方」

今回は「ばね」の問題を例に挙げて、メモの仕方(私は「ならべ算」と呼んでいます)をご紹介しましょう。

ばねについては「3つの長さ」を整理するところから始めます。

ばねの全長=自然長+ばねののび

そして、以下の法則が重要です(フックの法則)。

おもりの重さ」と「ばねののび」は比例の関係

例題を通して確認する(1)

これを踏まえて次の問題に取り組んでみましょう。

問題1
自然長$24\rm{cm}$で、$20\rm{g}$で$4\rm{cm}$のびるばねに$\boxed{\phantom{satoh}}\rm{g}$のおもりをつるすと、全長は$36\rm{cm}$になります。

問題1の解説

手順1
基準となる「ばね情報」をメモしましょう。
おもりの重さばねののび比例であるという関係を用いるので、以下のようにメモします。

手順2
問われている数値を「ばね情報」に追記しましょう。

全長が$36\rm{cm}$ですので、ばねののびは$12\rm{cm}(36-24)$です。
これを以下のようにメモ書きした「ばね情報」に追記しましょう。

手順3
基準から何倍になっているのかを調べましょう。そして、おもりの重さを求めましょう。

ばねののびが基準の$3$倍になっているので、おもりの重さも$3$倍になっているはずです。
よって、
$㋐=20×3=\underline{60\rm{g}}$

例題を通して確認する(2)

問題2
$30\rm{g}$のおもりをつるすと$37\rm{cm}$、$80\rm{g}$のおもりをつるすと$47\rm{cm}$になるばねがある。このばねの自然長は$\boxed{\phantom{satoh}}\rm{cm}$である。

問題2の解説

手順0
「ばね情報」に必要なおもりの重さばねののびの関係を見つけましょう。

$30\rm{g}$のおもりをつるすと全長が$37\rm{cm}$
$80\rm{g}$のおもりをつるすと全長が$47\rm{cm}$

このことから、$50\rm{g}$増えると$10\rm{cm}(47-37)$のびることが分かります。

手順1
基準となる「ばね情報」をメモしましょう。
おもりの重さばねののび比例であるという関係を用いるので、以下のようにメモします。

手順2
問われている数値を「ばね情報」に追記しましょう。

今回は自然長を問われています。
$30\rm{g}$のおもりをつるしたときのばねののびを求めましょう。

以下のように追記します。

手順3
基準から何倍になっているのかを調べましょう。そして、ばねののびを求めましょう。

おもりの重さが基準の$\dfrac{3}{5}$倍になっているので、ばねののびも$\dfrac{3}{5}$倍になっているはずです。

よって、
$㋑=10×\dfrac{3}{5}=6\rm{cm}$

手順4
このばねの自然長を求めましょう。

$30\rm{g}$のおもりをつるしたとき、ばねの全長は$37\rm{cm}$$(=$自然長$+$ばねののび$)$です。
このとき、ばねは$6\rm{cm}$のびていると手順3で分かったので、
自然長$(\boxed{\phantom{satoh}})=37-6=\underline{31\rm{cm}}$

※「手順2」で$80\rm{g}$のおもりをつるしたときのばねののびを求めても可です。

理科の計算問題克服の鍵は「関係をメモして倍率計算をする」こと

もちろん別解もありますが、代表的なものをご紹介しました。

おもりの重さばねののびのように、2量(または3量)の関係をメモして倍率計算をすることは、理科の計算問題克服において非常に重要なことです。

ぜひ、「基準をメモ」して「倍率計算」をする習慣をつけましょう。基本的に難しい問題でも同じ作業で解くことができるはずです。
次回は中和反応の計算を例に、もう少し説明をしたいと思います。

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